2006/10/23掲載
━ビジョン作りは難しい━
前回、経営羅針盤に、会社概要、歴史と特徴、経営理念、3年後のビジョンの4点を記入するよう宿題を出していましたが、出来ましたか?
私はここ約10年間、中小企業の経営者に対して、経営計画作りのお手伝いをして来ました。その中で、多くの経営者は、経営理念については、かなりしっかりしたものをお持ちですが、ビジョンを作るとなると戸惑う方が多いのが実態です。
その場合、お勧めしているのが、私が定量的ビジョンと名づけているものです。これは、いわば数字の語呂合わせで、ビジョンと目標の中間にあたるものをつくります。
有名な例に、日産180があります。内容は上図の通りですが、ゴーンさんが日産の経営再建に乗り込んで、最初の大リストラ計画で大ナタをふるった後の、攻めの3カ年計画です。
もう一つの例が、流通大手イオングループのグローバル10です。最近、イオンとダイエーの提携が進みつつあり、このビジョンの達成も、射程圏内に入ってきたようです。
上図に上げた保険代理店の例は、今年の初めに、私が経営計画作りをお手伝いした代理店の例をアレンジしたものです。ここの《絆を結んだお客様》とは、保険を全て任して頂いている、即ち、顧客内シェア100%のお客様のことです。
この代理店は経営理念に《お客様との絆を大切に》を掲げており、スタッフの皆さんと、お客様と絆が結ばれたと判断するための定量的指標は何かについて議論して、顧客内シェア100%顧客の全体に占める割合を《絆化率》と定義しました。
ビジョンがうまく作れないという方は、以上を参考に工夫をして下さい。
では、次回までの宿題です。経営羅針盤の最後、3年後の目標を定めます。
先ず、エクセルフォーマットの下記赤枠部分に、アンケートで答えた数字を入れてください。残りの色付きの部分が、自動的に計算されて埋まったと思います。
3年後の経営格付けが、A,Bランクにランクインすれば、一応合格です。
A,Bにランクインしなかった場合は、荒唐無稽は困りますが、精一杯背伸びすれは、ギリギリ達成可能な数字(ストレッチ目標といいます)を考えて、3年後の目標数字を修正しながら、次回までに、色々シミュレーションしてみて下さい。