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IT今昔物語 デジタルで再出発 : (36)プロ代理店20年 こちらも失われた20年?
投稿者: webmaster 投稿日時: 2022-6-21 9:49:04 (434 ヒット)

インスウオッチ Vol.1141 2022.06.20 https://www.inswatch.co.jp/

前回>http://cho.eforum.biz/modules/news/article.php?storyid=210
 バックナンバー>https://bit.ly/3mi2CJN

前回、代理店業界が生産性の停滞から失われた20年になったとお話ししましたが、それに気づくきっかけは、本コラムで財務診断の新旧を解説するなかで、以下のように、診断参加社の売上規模は伸びているにも関わらず、生産性がほぼ横ばいに推移していることでした。

上段2002→2003年データ 下段2016→2020年データ
◆生産性診断(売上高÷期末総従業員数)単位万円/人
レベル5  レベル4  レベル3  レベル2  レベル1   
1050以上  860以上  710以上   530以上  530未満
1000以上  820以上  710以上   600以上  600未満

◆安定性診断(売上高) 単位万円
レベル5  レベル4  レベル3  レベル2  レベル1   
5300以上 3300以上 2400以上 1600以上 1600未満
12000以上 9000以上 8400以上 7600以上 7600未満

 私は1996年、55歳で独立し、2015年、75歳を機にコンサルの現場を離れましたが、〈アクティブな中小企業と共に歩む〉をモットーに、前向きに事業に取り組むプロ代理店の皆さんと、年に平均すると2、3社程度、コンサルをする機会を頂きました。

この間、保険会社と代理店の間はオンラインで繋がり、代理店にパソコンがあるのが当たり前の世界になり、コンサル先でもITを活用して生産性を上げる組織を目撃してきたので、20年間にわたり生産性が停滞しているという上記のデータに違和感を覚え、調べるキッカケになりました。

 この財務診断は、〈トップ1%を目指す〉代理店に、ベンチマークを提供することが目的で、具体的には、当方で開発した財務シミュレータのKGI(経営目標達成指標)用に開発されたものです。ちなみに、前々回皆さんに提供した〈骨太の方針〉も、その仕組みになっています。

〈2022年度骨太の方針〉
http://cho.eforum.biz/pdf/2022plan.pdf

上記の財務診断は、トップ代理店同士の比較では、ある程度の信頼性はありますが、プロ代理店全体の傾向を表していないので、代理店チャネルごとの保険料、手数料率、 募集人数、代理店数といったデータを探しましたが、残念ながら20年間を比較できるようなデータは見つけられませんでした。

損保の募集チャネルと効率性に関する統計分析については、以下が有名ですが、ここでもデータの限界が語られています。重回帰分析による研究ですが、若いころに企画庁で、汎用機を徹夜で使って、物価の分析をした時の、データ収集とデータクリーニングに苦労したことを思い出します。

わが国損害保険業における募集チャネルと費用効率性 2011.08.25
https://www.jstage.jst.go.jp/article/giiij/73/2/73_85/_pdf

 代理店チャネルは、扱保険料で損保では9割を超え、生保でも存在感を増す中、生産性の向上は保険業界にとって、大きな課題の一つです。そのためには、先ずは現状を正しく分析することが先決です。現在、分析手法も大きく進化を遂げており、業界が連携して取り組むべきでないかと考えます。

 具体的には、損保協会、生保協会、保険学会などが音頭をとってチームをつくり、代理店の個別データなどをベースに、ビッグデータ解析により、代理店チャネルの構造を分析し、生産性を高めるための方法論を探るといったごとが出来ると理想ですが、如何でしょうか?

追記
今回紹介した上記論文では、個人代理店の占める比率が高い保険会社ほど事業費率が低いとのこと(p102参照)。実は現在でもマクロでみると、個人代理店の方が法人代理店より、保険料で見た生産性は若干高いようで、単純に個人代理店を整理統合すれば良いということでもなさそうです。

2020年度データ  火災、自動車、損害の扱保険料ベース
保険料 募集人 生産性 代理店数  規模
法人 62640  194 323 9.5 20.5
個人 3305  10 331 7.0 1.5
合計 65945 204 323 16.5 12.4
億円 万人 万円/人 万店 人/店

2020年度(令和2年度)末の代理店統計について
https://bit.ly/39rkWO1

(経営数理研究所代表 インスウオッチ客員研究員)
http://cho.eforum.biz/modules/xoopsfaq/index.php?cat_id=7

次回>http://cho.eforum.biz/modules/news/article.php?storyid=213


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