インスウオッチ Vol.1149 2022.08.22 https://www.inswatch.co.jp/
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2002年に実施したInswatch Best Practice Agents(IBPA)調査を元に、代理店規模別に個業(スタッフ1から2名)、家業(3から9名)、企業(10名以上)と3つに分けて、ビジネスモデルの提案をしました。失われた20年で、今見ても結構参考になるので、調査を振返りながら今を考えます。
今回は最終回で企業のビジネスモデルです。先ず以下をお読みください。
IBPA調査から見た企業の事業展開 inswatch Vol.100 2002.07.01
https://www.inswatch.co.jp/backnumber/backnumber/0100-0226-30.htm
(ID、パスワードはインスウオッチの最後に記載、毎月変更)
以下は、代理店のビジネスモデルを、インフルエンスダイヤグラムで描いたものですが、IT投資の部分をご覧頂くと、顧客DBを挟んで、EDI (Electronic Data Interchange:電子データ交換)とCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)が表示してあります。
代理店のビジネスモデル
http://www2.biglobe.ne.jp/~cho/agresch0202f/img023.GIF
当時の状況は、保険会社と代理店間のEDIである共同ゲートウエイの運用が始まり、政府が「5年以内に世界最先端のIT国家となる」を目標に、IT基本戦略〈e-Japan戦略〉を立てていて、上記の機能を盛り込んだ以下のようなシステムも、近々実現出来るのではとの期待がありました。
代理店システムの将来像
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共同ゲートウエイは、特に生保系の乗合代理店にとってメリットが大きく、資金力がありITの専任を置くことができる、生保主体の大型乗合代理店、即ちM&Aで全国展開する訪問型や新たに生まれた来店型代理店で、CRM機能も含んだシステムの自社開発が進み始めます。
一方、損保系の代理店は、個業、家業といった小規模代理店が主流で、自社開発の余裕はなく、保険会社提供のシステム利用が一般的です。3メガ集約の過程で、それぞれ独自のシステムで代理店を囲い込む流れになりましたが、近年CRM機能を本格的に組み込んだシステムが出始めています。
自社システムからSaaSへCRMを刷新 東京海上日動2022.07.20
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/07022/
CRMを含んだシステムの運用には、それに見合った組織能力、即ち以下示した経営成熟度3(定義された)が最低限必要ですが、多くの代理店はこのレベルに達していないので、なんとかしてCRMを使おうとする努力が、かえって経営の足を引っ張るケースが多いので注意が肝心です。
経営成熟度
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損保会社の代理店システムは、専属系(専属+比較推奨販売をしない乗合)代理店向けで、規模の小さい損保系代理店にとって、乗合はシステム的にハードルが高いものでしたが、業務担当者が自らカスタマイズ出来る、IT担当不要のクラウドサービスが出てきており、注目しています。
共同ゲートウェイの仕組みと活用方法 2022.7.14
https://media.hkn.jp/210
追記
来店型という一世風靡の業態を開発した今野さん、残念な結果になりました。1号店を港北ニュータウンに開くというお話を聞いた時、目の付けどころがすごいと感心して、プロ代理店からひょっとしたら上場企業が生れるかも、と期待したことを思い出します。
伊藤忠の保険部門長に聞く、「ほけんの窓口」の現状と先行き
https://diamond.jp/articles/-/295394
(経営数理研究所代表 インスウオッチ客員研究員)
http://cho.eforum.biz/modules/xoopsfaq/index.php?cat_id=7
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