インスウオッチ Vol.799 2017.11.20
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民泊から見た日本(6) 国家戦略特区 長 忠
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国家戦略特区による学校法人≪加計学園≫の獣医学部新設は認可が出ました。獣医師会の圧力に屈して1学に絞り込まれましたが、国家戦略特区が成長戦略の目玉という割にはさびしい結果となりました。安倍さんが圧力に屈せずに複数の学校を認めておけば、こんな騒ぎにならずに済んだのにと思います。
民泊においても同様で、旅館ホテル業界の圧力に屈して、国家戦略特区での条件として、民泊の実情とかけ離れた、6泊7日以上の宿泊に制限されたため、参加が東京都では大田区のみといった、ほとんど機能しない結果になりました。大田区も参入後の後始末に苦慮といった状態です。
その間隙を縫う形で、前に述べたように、Airbnb(エアービーアンドビー)が、民泊の仲介市場をほぼ独占する形となりました。日本勢は多くは本業を持った形での参入のため、本業への影響を懸念して、違法物件を扱うことに慎重にならざるを得ないということで、今のところ存在感を発揮できないでおります。
民泊の大部分が許可を得てない違法物件という状況で、政府もさすが放置は出来ず、遅ればせながら住宅のまま民泊の営業を認める住宅宿泊事業法(民泊新法)を成立させ、来年6月に施行の運びとなりました。次回は民泊新法をめぐる問題をお話しします。
民泊に関連した話題として、先週シェアリングエコノミーのもう一方の旗手、ライドシェア最大手UBER(ウーバー)に、ソフトバンクが最大で100億ドル(約1兆1300億円)の出資をする話が報じられました。
わが国ではAirbnbが存在感示す中、UBERの影は薄いのはなぜでしょうか?私は、規制の問題はあるものの、基本的には消費者の支持があるかないかの違いではと考えています。日本のタクシーはサービス水準がかなり高く、消費者側に大きな不満がないように思います。
インスウオッチ Vol.797 2017.11.06
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民泊から見た日本(5) 岩盤規制 長 忠
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学校法人≪加計学園≫の獣医学部新設問題では、文科省の岩盤規制が話題となりましたが、民泊でも同じ問題が起こっています。規制が獣医の既得権益を守るよう作用しているように、民泊でも旅館業界を守るように動いています。
公的規制の根拠の一つに、経済学を学んだ方はご存知ですが、≪市場の失敗≫があり、学校や旅館の規制の根拠は、≪市場の失敗≫の一つである≪情報の非対称性≫、つまり売り手の商品やサービスの内容が、買い手が買う前には良く分らないという前提です。
≪情報の非対称性≫を放置すると需要が縮小≪市場が失敗≫するので、その辺を政府が介入して、大学の設置基準を設けるとか、旅館業法によって設備などの基準を設けたりして、市場を活性化するというのが本来の目的です。
ところが、加計学園では獣医が足りているのか足りていないのかといった、規制の目的が需給調整にあるような議論が何の違和感もなく行なわれていることに、私としては強い違和感を感じています。
民泊での岩盤規制は≪旅館業法≫です。昭和23年に出来た法律で、時代遅れの規制が残っていて、それが結果的に旅館業界の既得権益を守ることになっています。
例えば便所の設置基準があり、ワンルームで民泊の許可を得ようとすると、大便器に加え小便器を設置せよということなど、終戦直後の赤痢が蔓延した時代を思い出すような基準が残っています。
≪需給調整の撤廃≫は規制改革の1丁目1番地ですので、政府としてもその突破口として≪国家戦略特区≫を大々的に打ち上げています。次回はその現状を民泊から見て行きます。
インスウオッチ Vol.795 2017.10.23
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民泊から見た日本(4) Airbnb vs TripBiz 長 忠
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Airbnb(エアービーアンドビー)は、日本の民泊市場で圧倒的存在感を持っています。
2008年にアメリカの若者3人で創業されたサービスで、現在全世界で300万件以上の民泊が掲載されていて、企業価値は3兆円と言われ、配車アプリのUber(ウーバー)と並んで「シェアリング・エコノミー」の巨人となっています。2014年に日本に進出し、現在約5万件の民泊が登録されています。
前回述べたように、我が国の法律の建てつけでは、民泊を行なうには旅館業法の許可を得るか、国家戦略特区で民泊の許可を得る必要があります。
ところが時代遅れの岩盤規制(旅館業法)と業界との妥協の産物(国家戦略特区)のため、採算を取るためのハードルが極めて高くなっていて、有名無実化する中、外国人観光客の増加で生まれた日本の新たなマーケットを、Airbnbや最近では中国系民泊サイトも加わり、外国勢で占められる事態となっています。
日本では民泊市場は、現状限りなくブラックに近いグレーのマーケットですが、社会的ニーズの高さから爆発的に登録が増えて、規制当局は殆ど対応不能状態となっていて、現状を追認する形で、一般住宅を宿泊施設として貸し出すことを認める、住宅宿泊事業法がやっと前国会で成立しました。
岩盤規制が日本側の成長機会を奪う典型事例で、日本企業による民泊の仲介サイトは元気がありませんが、その中で私が注目したのが、日本法人向けに特化して民泊の仲介を行なっている、TripBizです。
今年初めに創業したスタートアップで、TripBizのサイトを見て、今回の私の民泊、事務所兼研修専用民泊というコンセプトを思いつきました。まだ登録件数は約600件と少なく、先行き不透明ですが、今後の展開に期待しています。
研修専用民泊-Biz&Bed 方南町- TripBiz URL
https://tripbiz.com/jp/detail-house/546
「日本企業の出張を快適に」TripBiz 新代表 安田 則之さん
https://minpaku-univ.com/interview/3861/
インスウオッチ Vol.793 2017.10.09
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民泊から見た日本(3) 研修専用民泊-Biz&Bed方南町-運用開始 長 忠
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研修専用民泊-Biz&Bed 方南町-は、日本法人向けに特化して民泊の仲介を行なっている、TripBiz に登録して運用を始めました。
Biz&Bed 方南町 TripBiz URL
https://tripbiz.com/jp/detail-house/546
最大の特徴はチェックインを10時、チェックアウトを次の日の17時に設定し、1泊で実質2日の研修が出来るようにしたことです。施設定員12名(宿泊8名+外部参加4名)の施設をまるまる貸切って使えます。
民泊については、騒音やゴミ出しへの苦情、犯罪の温床になるとの不安などで社会問題化しています。TripBizは日本法人のビジネスパーソンに利用を限定している点が安心材料となっています。
TripBizの親会社は全国チェーンのメガネ店(OWNDAYS)で、社長のブログが結構面白いことも登録の動機になっています。
最新のブログ記事 2017-08-31 19:51:05
しかし、自分の上司を自分たちで決められもしないのに皆よく我慢してるよね。
https://ameblo.jp/shuji7777/entry-12306464228.html
◆インスウオッチ読者の週末利用(金土の2泊3日)
前にお話ししたオフ会での利用、会社の福利厚生としての社員同士や家族友人との東京への旅行、なにかの行事と組み合わせての宿泊など、研修以外の利用も可能ですのでご相談下さい。
なお、TripBizでは会員同士の直接取引が禁止されていますので、誤解を招かないように、インスウオッチ読者で週末利用をご希望の方は、TripBizに登録せずに私に直接ご連絡下さい。
ご連絡先 長 忠(ちょう ただし) cho@mxa.mesh.ne.jp
インスウオッチ Vol.793 2017.09.19
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民泊から見た日本(2) 民泊と保険 長 忠
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前回、耐震診断の業者さん探しの苦労話をしましたが、保険でも似たような苦労があり、結局こちらも耐震診断と同様ネットで解決しました。
先ず、我が家の火災保険を長年お願いしている代理店に話したところ、紆余曲折はありましたが、結論として民泊は引き受けられないとのことでした。
そこで、その辺の事情をRINGの会の皆さんへメーリングリストを通じて相談し、色々貴重なアドバイスを頂きましたが、残念ながら具体的な保険会社にはたどり着けませんでした。
結局こちらも最後はネットがたよりとなり捜したところ、偶然我が家から歩いて行ける保険代理店さんにたどり着き、あいおいニッセイ同和さんと無事契約が出来ました。
民泊保険相談(ベスト・プランニング・サービス)
http://hoken-minpaku.com/
契約した保険は事業活動総合保険(ワイド)で、設備・什器等の2百万円を基本に、賠償特約1億円、借家賠・修理費用特約1千万円がついて、保険料は15,710円でした。
現在保険会社により民泊の保険について対応が分かれるのは、私は以下の2点が影響していると考えています。
◆民泊は若いサービスで、まだまだ件数が少ない
日本での民泊は、民泊仲介の巨人、Airbnbが日本語サイトを2013年9月に開設して4年、現在5万戸程度、住宅総数6千万戸からみるとコンマ以下
◆民泊の大多数は非合法
我が国の法律の建てつけでは、民泊を行なうには旅館業法の許可を得るか、国家戦略特区で民泊の許可を得る必要がありますが、Airbnbが爆発的に登録件数を増やす中、規制当局は殆ど対応不能状態
民泊物件数が40,000件を突破。合法化率0.2%と僅か(民泊ニュース2017.01.23)
https://airstair.jp/minpaku-40000/