2006/12/11インスウオッチ掲載
━来月からの営業チームの仕事は?━
皆さんは、ここまでで、経営計画3点セットの内《経営羅針盤》と《経営航海図》は、完成したと思いますので、いよいよ最後の《航海月誌》を作成します。
前回は社長の仕事の《航海月誌》を作成しましたが、今回は営業チームの仕事です。チームということですので、責任者をおいてPDCAサイクルを回してください。
これから挙げる実施項目は、STEP1のいわば基礎コースですので、既に出来ていることは飛ばして下さい。
また、書いてあることは例示ですので、社内の状況に合わないようでしたら、自由に変更して下さい。自分にしっくりこないと旨く回りません。
先ず、営業管理についてです。戦略目標は《規律と自己管理で先ず、営業量を拡大》です。
■実施項目1 営業日報の導入と活用
営業管理の基本中の基本ですが、インスウオッチを読んでいる先進的な皆さんですら、営業日報をつけていない代理店が、未だ多数派となっています。
最近は、正社員に留まらず、委託型募集人等の採用で、様々な立場の営業スタッフが在籍するようになり、営業日報は、営業規律の確立を通じて、最近重要性を増しているコンプライアンスにも、必須のアイテムになっています。
ポイントは、前回《経営計画3点セット導入・定着》で述べたと同様に、ここでも営業活動のPDCAサイクルが定着するまで、社長が根気良く毎月直接関与して、実施状況をチェックすることです。
なお、営業日報については、既にご報告していた《モバイル日報》について、無料版による検証が終わりましたので、来年初めに《超簡単SFA》というネーミングで、リリースを予定しています。その時期になりましたらご紹介いたします。
■実施項目2 先ず、有効面談件数を増やす
有効面談とは、お客様との面談のうち、新規開拓と既存深堀に使っている時間や件数です。
私のコンサルティングの経験から、平均的活動をしている代理店で、この有効面談時間は年間100時間程度です。
売上高は営業の量と営業の質を掛け合わせたもので達成されますが、先ず、営業の量、即ち有効面談を増やすことに注力して下さい。
目標は、有効面談時間を、1年程度で、年間100時間から、200時間増やして、300時間にしましょう。営業管理と適切なIT化を行えば、充分達成可能です。
営業量を増やすことで、営業の質についての課題も、明らかになります。典型的な例が、時間が増えても行く先がないという問題が、明らかになるケースです。
このような状況を放置しておくと、だらだら営業が定着して、営業規律が乱れて、取り返しがつかない状況になります。営業IT化への抵抗が、実はだらだら営業の実態が明るみに出ることを恐れて、といったケースもかなりあり、注意が必要です。
次は、既存深堀で戦略目標は《的を絞った既存深堀》です。
■実施項目1 クレーム情報共有で迅速解決
クレーム問題がここに挙がっていることに、皆さん少し違和感を持たれたかもしれません。
ここで挙げたのは、お客様との信頼関係維持の基本中の基本であることに加え、実は、これにより営業活動の効率と品質が上がります。他業種の例ですが、私の関与先でも成果を実感しています。
特に、情報の共有化が大切なので、責任追及の場にするのではなく、旨く解決したときには、キッチリ評価してあげることがポイントとなります。
なお、先ほどの《超簡単SFA》では、超簡単な情報共有の仕組みを用意しています。
■実施項目2 ?
ここは、第6回━ポストイットで知恵を絞る━で抽出した実施項目を記入して、始めてください。
各社別に状況が異なるため、これについては各社別にバラケます。
第3回━ビジョン作りは難しい━でご紹介した、未来保険(仮称)の場合は、《的を絞った既存深堀》というテーマで議論した結果、的自体がはっきりしていないこと、深堀の前提となる他社満期情報の収集が不十分なことがわかりました。
そこで実施項目として、《絆化候補の定義》と《他社満期情報獲得のための仕組み作り》の2つを挙げることにしました。この辺は皆さんとも共通な課題かもしれません。
次回はバックオフィスチームの《航海月誌》を考えます。
2006/12/04インスウオッチ掲載
━来月からの社長の仕事は?━
皆さんは、ここまでで、経営計画3点セットの内《経営羅針盤》と《経営航海図》は、完成したと思いますので、いよいよ最後の《航海月誌》を作成します。
前回説明した役割分担に従って、先ず、社長の仕事から考えます。特に、12月決算の会社がかなりあると思いますが、来年1月から始めると、ベストのタイミングになります。
これから挙げる実施項目は、STEP1のいわば基礎コースですので、既に出来ていることは飛ばして下さい。
また、書いてあることは例示ですので、社内の状況に合わないようでしたら、自由に変更して下さい。自分にしっくりこないと旨く回りません。
先ず、組織風土についてです。戦略目標は《やるべきことはキッチリやる》です。
■実施項目1 経営計画3点セット導入・定着
実は、これがこれから述べる実施項目にうちで、一番大切なものです。
経営目標を達成するためだけでなく、職場規律の確立を通じて、最近重要性を増しているコンプライアンスにも寄与します。
ポイントは、このPDCAサイクルが定着するまで、社長が根気良く毎月直接関与して、実施状況をチェックすることです。
責任追及の場にするのではなく、旨く行ったときには、キッチリ評価してあげて、場を盛り上げることが重要です。
戦略無き実行は悪夢、実行なき戦略は白昼夢といいます。白昼夢にならないように《航海月誌》で、毎月確実にPDCAサイクルを回しましょう。
くれぐれも、社長がまた新しいことを始めた、そのうち立ち消えになるだろうと、スタッフの皆さんに思わせないように、頑張ってください。
■実施項目2 成果配分でやる気を盛り上げる
管理をしっかりする一方で、スタッフのやる気を盛り上げることが大変重要です。基本は、前に述べた生産性向上の成果を、スタッフにもキッチリと配分することです。
全体を底上げする形で配分するか、個人の働きに応じて配分するか、基本のところを先ず決めましょう。今まで旨く行っているようでしたら、方針を変える必要はありませんが、スタッフの皆さんには、透明性の高い形で、文書で伝えましょう。
次は、新規開拓で戦略目標は《強みを生かして新規開拓》です。
■実施項目1 紹介獲得の仕組みをつくる
先ず、新規開拓の基本である既存顧客からの紹介を、獲得する仕組みをつくりましょう。
紹介獲得のプロセス設計と、それに応じたツールの制作が最低限必要です。
既に出来ているよ、ということでしたら飛ばして下さい。
■実施項目2 ?
ここは、第6回━ポストイットで知恵を絞る━で抽出した実施項目を記入して、始めてください。
各社別に強みが異なるため、これについては各社別にバラケます。
第3回━ビジョン作りは難しい━でご紹介した、未来保険(仮称)の場合は、《買収戦略の強化》と《保険会社との提携による法人開拓》でした。
次回は営業チームの《航海月誌》を考えます。
2006/11/27インスウオッチ掲載
━毎月PDCAを回す━
前回バランススコアカード(BSC)では、経営について、4つの視点をベースに《因果》のバランスと《時の流れ》のバランスで捉え、更に4つの視点を《戦略目標》という、わが社にとって重要と考える目標に分解するという話をしました。
《戦略目標》については、ここでは、学習と成長の視点では《組織風土》《役割分担》、業務プロセスの視点では《営業管理》《顧客対応》、顧客の視点では《新規開拓》《既存深堀》と、6つに分解し具体的に記述しています。
これが出来ると、この6つの戦略目標それぞれについて、責任の所在を明らかにして、目標達成に向けて努力を重ねることになります。
責任分担については、上図のように《組織風土》《新規開拓》は社長の責任、《役割分担》《顧客対応》はバックオフィスチームの責任、《営業管理》《既存深堀》は営業スチームの責任とします。
この責任分担に応じて、設定した目標(KPI)に対して、具体的にやるべきことを《実施項目》と称します。
この実施項目を確実に実施に繋げる仕組みが、経営計画3点セットの3番目のフォーマットである《航海月誌》となります。
《航海月誌》は、私が通常PDCA管理表と称しているもので、P(Plan)→D(Do) →C(Check) →A(Action) →P(Plan)という、PDCAサイクルを確実に回すためのものです。
《航海月誌》の運用は以下の通りです。
月末に次月についてのP,Dを記入
P(Plan)
実施項目の狙いや背景を記入
D(Do)
次月にやるべき行動計画を記入
月末に当月についてのC,Aを記入
C(Check)
当月旨く出来たかどうか実施状況を記入
A(Action)
実施状況を踏まえ改善点があれば記入
以上が終わったら、新しい航海月誌を用意して、改善点を踏まえ、次月のP,Dを記入
以下サイクルを繰り返す
《実施項目》について実施が完全に出来たら、新しい《実施項目》を皆で考えて、同様にPDCAを回すことで、レベルアップを図ってください。これは、会社が存続する限り、永遠に続ける活動です。
ポイントは、このPDCAサイクルが定着するまで、社長が根気良く毎月直接関与して、実施状況をチェックすることです。責任追及の場にするのではなく、旨く行ったときには、キッチリ評価してあげて、場を盛り上げることが重要です。
次回から3回に渡り《航海月誌》を埋めながら、来月から具体的になにをなすべきかを考えます。
2007/11/20インスウオッチ掲載
━BSC mapで目標達成の道筋を示す━
ポストイットを使った知恵出しは如何でしたか?
既存顧客深堀と新規顧客開拓の2テーマについて、それぞれ2つずつ、重要と考える実施項目の抽出が終わったと思います。
では、抽出した4つの実施項目を、下記の《経営航海図》に記入して下さい。
これで、経営計画3点セットのなかで、一番目の《経営羅針盤》に続いて、2番目のフォーマットである《経営航海図》が完成します。
上記の《経営航海図》は、最近注目の経営管理手法である、バランススコアカード(BSC)で使われている戦略マップという仕組みをベースに、私が代理店向けに開発したものです。
この《経営航海図》は、今後1年程度を見越して、わが社として是非やっておかないといけない、重要項目が網羅されており、目標達成の道筋を示しています。
なかでも《STEP1 先ず、営業の足腰を強化する》と謳われている通り、代理店の共通の弱点である営業管理(赤枠で囲んだ部分)にスポットライトを当てています。
では、ここで、バランススコアカード(BSC)のアウトラインを解説します。
今までの経営管理は、ご存知のように、財務を中心とした結果論でした。
この流れを大きく変えつつあるのがBSCで、先進的企業を中心に、日本でも導入が活発化しています。
私のコンサルティング経験から見ても、社長のリーダーシップとスタッフ間の情報共有が旨くかみ合うと、BSCは大変効果を発揮します。
以下をご覧下さい。ポイントは《バランス》と《スコアカード》です。
BSCでは、4つの視点をベースに、原因と結果の流れ、即ち《因果》のバランスと、過去と現在と未来という《時の流れ》のバランスで捉えます。
具体的には、4つの視点を、それぞれ《戦略目標》という、わが社にとって重要と考える目標に分解し、因果の流れで結びます。
これが出来ると、もう一つのBSCの特徴である《スコアカード》を考えます。これは《戦略目標》が達成されたかどうかを定量的に測定するための指標を探すことです。
この指標をKPI(Key Performance Indicators:重要業績評価指標)といい、それを順序立てて整理したものを《スコアカード》といいます。
私がBSCを気に入っているポイントは、BSCが、人と組織は学習によって成長するという、未来志向の性善説にたっていること、また、それらを定性的にあいまいに評価するのではなく、定量的にキッチリ評価する点です。
次回は8回目ですが、予定していた目次を一部変更して《経営航海月誌の運用 ━毎月PDCAを回す━》を追加で入れますのでよろしく。
2006/11/13インスウオッチ掲載
━ポストイットで知恵を絞る━
今回は、4回目の《マーケット開拓目標━客単価アップと新規開拓━》を受けて、具体的やるべきことを社内で知恵出しする方法を学びます。
先ず、今年度の目標設定を行う中で、既存顧客深堀と新規顧客開拓の具体的目標を決めます。以下の手順で計算を進めてください。
STEP1 下図を計算用紙に使うので、本講義をプリントアウト
(本講義末尾右側の印刷ボタンをクリックすると印刷できます)
STEP2 下図の水色枠に、エクセルフォーマットにある3カ年計画の確定数字を転記
STEP3 下図の,らまでを、3年後の目標を踏まえつつ計算
STEP4 既存顧客深堀と新規顧客開拓の具体的目標である下図のから欧魴彁
以上の計算から、今年度の《要新規開拓顧客数》《要顧客深堀件数》《売上増加目標》等、主要な既存顧客深堀と新規顧客開拓についての目標が決まりました。
これを受けて、次は、具体的になにをすべきかを、社内の知恵を結集して考える、お勧めの方法をお話します。御社が10人前後までの代理店でしたら、全員参加で実施して下さい。
大きめのポストイットとサインペンを人数分、それと模造紙数枚をご用意下さい。模造紙は全員が見えるように壁に貼って、その上にポストイットを置いていきます。
今回のテーマは、既存顧客深堀と新規開拓を具体的に進めるには?です。それぞれ別々のテーマとして、2回に分けて実施して下さい。実施の具体的手順は以下の通りです。
次回までに上記をやってみて、既存顧客深堀と新規開拓の2テーマについて、それぞれ2つずつ、重要と考える実施項目を抽出しておいて下さい。
上記の方法は応用範囲が広く、経営計画を、プランニングサイクルに合わせ、見直すときに活躍します。
次回は、7回目《経営航海図を作る ━BSC mapで目標達成の道筋を示す━》です。