インスウオッチ Vol.1109 2021.11.15 https://www.inswatch.co.jp/
前回>http://cho.eforum.biz/modules/news/article.php?storyid=195
バックナンバー>https://bit.ly/3mi2CJN
保険代理店からの最初のまとまった仕事が、1998年に新潟県保険流通協同組合から頂いた情報化ネットワーク調査でした。RINGのお仲間の紹介で始まった仕事で、1999年には長野県の組合、2000年には兵庫県の組合と、3年連続で仕事が繋がりました。
中小企業庁の協同組合に対する調査補助金を受けての仕事でしたが、当時は金融ビッグバンの流れの中で、インターネットのビジネス利用が拡大し、保険業界にも大きな地殻変動が起こりそうな予感がしていて、ワクワクしながら取組んだ記憶があります。
新潟県保険流通協同組合 情報化ネットワーク調査
http://www2.biglobe.ne.jp/~cho/niigata0303/sld001.htm
調査では先ず組合参加代理店へアンケートを実施し、当時代理店のIT化に必須と考えた7条件について達成度をお聞きしました。ここでのポイントは6番目と7番目で、代理店業務効率化のキモである顧客接点での直接計上が近々始まるとの想定で入れておりました。
アンケート項目
http://www2.biglobe.ne.jp/~cho/niigata0303/sld006.htm
当時の保険代理店の契約手続きは、手書きの申込書を保険会社に持ち込むというもので、複雑な契約条件に合せて正確な申込書を作成するのは、職人芸の世界で、一人前になるには3年かかると言われていました。
インスウオッチ連載 紙と鉛筆の事務
http://www2.biglobe.ne.jp/~cho/inswatch/inswatch2.htm
当時の状況判断では、AIUが業界に先駆けて代理店システムのインターネット接続を果たしており、インターネットで保険会社と代理店が繋がることで、契約データの入力接点が保険会社から代理店に移り、更にはモバイルパソコンを使っての客先での直接計上が近々可能になると考えていました。
AIUの保険代理店業務統合支援システム インターネットSUCCESS
https://xtech.nikkei.com/it/members/NOS/JIREI/20000301/1/
当時政府が「5年以内に世界最先端のIT国家となる」を目標に、IT基本戦略〈e-Japan戦略〉を立てていて、大変期待していましたが、結局掛け声倒れに終わりました。デジタル庁を巡る動きは、デジャブを感じますが、今度こそ皆で頑張って、二の舞にならないようにしたいものです。
インスウオッチ連載 IT基本戦略と保険
http://www2.biglobe.ne.jp/~cho/inswatch/inswatch5.htm
デジタル化の遅れで、顧客接点での直接計上は現在でも道半ばです。我が家の火災保険は、親の代からお付き合いのある旧富士火災(現AIG損保)の個人代理店の方で、さすが今は手書きの申込書ではなくなりましたが、毎年1回の訪問時に、紙の申込書にサインという形が続いています。
アナログのプロセスをデジタル化することが、先ずはDXの出発点になりますが、今回のコロナ禍でハンコレス、ペーパーレスが進みそうです。ハンコと紙は、事務の合理化を阻止するわが国の宿痾でしたが、やっと解決にむけて動き出したようです。
「書面、押印、対面」 今は昔
https://digitalforum.nikkei.com/column/hanko001/page1.html
電子取引の紙保存は「廃止」に!改正後の運用見直しは必要?
https://www.worksap.co.jp/media/useful/dencho202204_01
(経営数理研究所代表 インスウオッチ客員研究員)
http://cho.eforum.biz/modules/xoopsfaq/index.php?cat_id=7
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インスウオッチ Vol.1107 2021.11.01 https://www.inswatch.co.jp/
前回>http://cho.eforum.biz/modules/news/article.php?storyid=194
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私が仕事を本格的に始めた1998年は、金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律(金融システム改革法)と、中心市街地の活性化に関する法律(中心市街地活性化法)が成立しました。いずれも日米構造協議に端を発した動きで、外圧利用の構造改革(ビッグバン)でした。
「外部環境への1視点」(1)街づくりビックバン 保毎連載
http://www2.biglobe.ne.jp/~cho/columnGK/gk1-.html#p1
私が新日鉄で街づくりに携わった経験があるので、OASISの仲間と以下の論文をまとめ、能率協会のコンペに応募しました。幸い入選し、専門家の間では評判が良く、講演などに結構引っぱりだされました。
中心市街地の競争戦略 ―街づくりビッグバンを迎えて−
http://www2.biglobe.ne.jp/~cho/oasis/zennou/sld001.htm
この論文で狙ったのは、地方中核都市での仕事で、金沢などを回りましたが、計画作りは都市計画系コンサルの独壇場で、役所の縦割りの壁は高く、通産系の中小企業診断士には、あまり仕事が回ってきませんでした。
「外部環境への1視点」(49)LRT 保毎連載
http://www2.biglobe.ne.jp/~cho/columnGK/gk45-.html#p5
コロナ禍で街のあり方が大きく変わりそうですが、今私が注目しているのは、パリの「15分シティ」構想です。これは街づくり関係者の必読書〈アメリカ大都市の死と生〉で著者のジェイコブズが述べた〈街に多様性をもたらす4条件〉に沿ったもので、コロナ後の街づくりにとって示唆に富みます。
パリ「15分シティ」構想:徒歩や自転車で行ける界隈
https://www.youtube.com/watch?v=iox-Or_r_Q8
ジェイン・ジェイコブズの都市論について
https://www.planktonik.com/nakamurajin/jacobs/
私は東京生まれの東京育ちで、今杉並区に住んでいますが、まあまあジェイコブズの4条件を満たした居住環境です。焼きたてのパンや新刊書が歩いて手に入り、自転車15分でライブハウスや映画館にたどり着けます。パリと同様、東京はやりようによっては、まだまだ可能性がありそうです。
私は鉄道マニアということもあり、これまで自家用車を持ったことがありませんが、あまり不自由を感じて来ませんでした。これからの持続可能な街づくりには、ジェイコブズの4条件を満たして、自家用車のいらない街にする必要があるように思います。
現在、街づくりへのIT活用については、国主導でスーパーシティ構想が動いていますが、国が自治体からの提案を全件差し戻すという異例の展開になっています。補助金目当てに表紙を変えればどこでも通用するような提案が殺到し、さすがこれではまずいと考えたのではと推察しています。
内閣府がスーパーシティ採択延期、31団体からの提案見直しを求める
https://project.nikkeibp.co.jp/atclppp/PPP/news/081202099/
地方での街づくりのポイントは、古くて新しい課題ですが、中心市街地の活性化です。特に地方では公共サービスの維持が難しくなっており、コロナ禍はそれを加速させています。地域の中心都市に都市機能を集中させ、コンパクトな街づくりが必要になります。
「ほとんどの日本人は都心に移住したほうがいい」
https://bit.ly/3FKmRsu
街づくりはあくまで人が主役ですが、ITはこれから黒子として大きな役割を果たすことになります。スーパーシティの見直しはチャンスなので、人が主役の横展開可能な魅力的なプランが出てくることに期待しています。
(経営数理研究所代表 インスウオッチ客員研究員)
http://cho.eforum.biz/modules/xoopsfaq/index.php?cat_id=7
次回>http://cho.eforum.biz/modules/news/article.php?storyid=196
インスウオッチ Vol.1107 2021.10.18 https://www.inswatch.co.jp/
番外編 保険代理店経営診断シートプレゼント
前回>http://cho.eforum.biz/modules/news/article.php?storyid=193
バックナンバー>https://bit.ly/3mi2CJN
前回お約束したインスウオッチ読者限定のプレゼント企画です。コロナ禍は代理店経営に大きなショックを与えましたが、インスウオッチの読者の皆さんは、ピンチをチャンスに変えて、乗り越えておられると考えています。
以下のエクセルシートをダウンロードして、次に述べる記入要領に沿って完成させることで、コロナ禍への対応状況をご確認ください。合せて、記入が終わりましたら、以下のアンケートにご協力下さい。
保険代理店経営診断シート(2019→2020→2021)ダウンロード
アンケート:コロナ禍において取組んだこと
これから記入要領をご説明します。前回お渡ししたシートに記入済みの方はシートを、まだの方は2018、2019、2020年度3年分の決算書をご用意下さい。
◆ STEP1 2019年度 経営診断
水色部分(1期前(2018年度)売上高、2019年度売上高、人件費、営業利益、期末顧客数、期末スタッフ数)を記入すると、自動計算され一番上に2019年度の経営診断結果が表示されます。
診断は、コロナ前の2015年から2019年度までの決算期に、当方が経営診断を行なった、売上高五千万円以上の専業代理店54社のデータをベースに行なっており、コロナ前との比較で経営状況を確認します。
具体的には、収益性、生産性、成長性、安定性の4つの個別評価項目をそれぞれ5段階で評価し、その総合点を算出、20点満点で、14点以上がAAA、11点以上がAA、それ未満がAと3段階で格付け評価をしています。
売上5千万円以上は売上でトップ3%に入る代理店なので、AAAは概ねトップ1%入りの代理店と推定しています。インスウオッチの編集方針に〈読んで頂きたいのはTOP1%を目指す代理店経営者〉と掲げているので、読者の代理店の皆様には、是非AAAを目指して頂きたいと考えています。
インスウオッチ編集方針
https://www.inswatch.co.jp/concept.php
◆ STEP2 2020年度 経営診断
2019年度同様、水色部分(2020年度売上高、人件費、営業利益、期末顧客数、期末スタッフ数)を記入すると、一番上に2020年の経営診断結果が表示されます。診断のベースデータは、2019年度と同じで、コロナ前との比較で影響の程度を診断します。
◆ STEP3 ACTION PLAN 記入
コロナ禍に対応して取り組んだ施策を、5つの課題(顧客深堀、顧客確保、働き方改革、人材確保、人材育成)毎に、上位2施策を記入して下さい。特記することがない場合はご記入不要です。
◆ STEP4 2021年度 経営診断
ここでは現在進行中の今期の経営見通しを立てます。前回述べたバランススコアカード(BSC)の仕組みを使った経営シミュレータになっていて、KPI(重要業績評価指標)をインプットすると、経営診断結果としてKGI(重要目標達成指標)がアウトプットされます。
5つの課題に対応したKPI(ピンク色部分:客単価、期末顧客数、経費率、期末総スタッフ数、給与水準)の目標値を記入すると、一番上に今期のKGIの予測結果が表示されます。KPIを色々動かすことで、シミュレーションが出来ますので、今期の経営見通しを立てるのにお役立て下さい。
以上で終了です。最後にアンケートをお願いします。
アンケート:コロナ禍において取組んだこと
(経営数理研究所代表 インスウオッチ客員研究員)
http://cho.eforum.biz/modules/xoopsfaq/index.php?cat_id=7
次回>http://cho.eforum.biz/modules/news/article.php?storyid=195
インスウオッチ Vol.1105 2021.10.04 https://www.inswatch.co.jp/
前回>http://cho.eforum.biz/modules/news/article.php?storyid=192
バックナンバー>https://bit.ly/3mi2CJN
前回「経営を数字で理解する」というテーマで仕事をスタートし、それに合うフレームワークを探したところ、経済企画庁で学んだ計量経済モデルと酷似した構造の、バランススコア―カード(BSC)にたどり着いたというお話をしました。
BSCは組織の業績を財務指標だけでなく非財務指標も含めバランス良く総合的に評価するために1990年代初めにアメリカで開発されたツールです。その後それを目に見える形で図式化する戦略マップが開発され、使い勝手が大きく高まりました。
以下は私が毎年1月2日に箱根駅伝を見ながら戦略マップを倣って作っている《生活バランスマップ》です。〈知的で心地よい暮らし〉を送ることが生活のテーマなので、仕事を始めるにあたり、仕事一辺倒でなく、仕事・趣味・家事3分法と称して、それぞれバランスを取るように心掛けました。
出来上がったら縮小コピーをとって手帳に挟み、時々眺めて、カミさんから笑顔をもらえているかな?といった感じで、反省の糧にしています。左側が白紙のフォーマットになっていますので、ワークライフバランスを取りたいと考えている方は、自分用を作ることが出来ますので、どうぞ!
2021年 長忠 生活バランスマップ
http://cho.eforum.biz/pdf/lbmap2021.pdf
このマップは、私の自己紹介をかねて、最初に社長などにお示しして、BSCの解説に使っていました。BSCを進めるには、先ずトップが内容を理解して、いいね!と言ってもらえることが必須の条件ですので、このマップは、先にコンサルが進められるかどうかのリトマス試験紙でした。
最初にBSCを本格的に取組んだのは冠婚葬祭業で、事業再生に乗り込んだ社長をOASISの仲間で支援しました。葬儀は即座に対応、結婚式はジックリと対応と、ビジネスとしては似て非なるもので、BSCを二通り作る必要があり、大変勉強になりました。
社長は、お客様を一番上に社長を一番下に置いた逆ピラミッド型の組織運営を目指していて、経営理念を〈お客様の喜びは私達の喜び〉において、サイボウズでお客様の声を徹底的に集め、皆で共有しました。これは大変効果的で、今話題の心理的安全性の高い組織に生まれ変わりました。
心理的安全性の作り方・測り方
https://www.dodadsj.com/content/190318_psychological-safety/
BSCの具体的進め方は、若手の選抜メンバーでジュニアボードを作り、そのチームを中心に作業を進め、経営トップも参加したミーティングで、内容の確認やアドバイスを行なうというもので、社内の〈心理的安全性〉が目に見えて高まるなかで、大変心地よいコンサルティングでした。
ジュニアボード制
https://bit.ly/3C8xWRr
コンサルティングで使ったバイブル書
https://amzn.to/3k3JTSd
その後、保険代理店のコンサルティングでもBSCは大活躍しました。次回は読者限定のプレゼント企画として、BSCの仕組みをベースにエクセルで作った最新の経営診断シートを差し上げます。以下のシートをダウンロードして、次回までに水色部分を手書きで記入してお待ちください。
保険代理店経営診断シート(2019→2020→2021)
http://cho.eforum.biz/pdf/BSCsim2021f.pdf
(経営数理研究所代表 インスウオッチ客員研究員)
http://cho.eforum.biz/modules/xoopsfaq/index.php?cat_id=7
次回>http://cho.eforum.biz/modules/news/article.php?storyid=194
インスウオッチ Vol.1103 2021.09.21 https://www.inswatch.co.jp/
前回>http://cho.eforum.biz/modules/news/article.php?storyid=191
バックナンバー>https://bit.ly/2XoJgu5
OASISやRINGの会の関係などで、ボツボツ仕事を頂けるようになり、中小企業関係の補助金の受け取りや保険会社など大企業との仕事では、個人事業主では支障があることも多いので、経営数理研究所という名称で合資会社を設立しました。
合資会社は設立が容易で費用も安く、当時若い起業家の間で流行っていて、設立の手引書などが出版されており、私も自分で法務局に出向き設立手続きを済ませました。典型的なアナログの世界で、ごった返した法務局で悪戦苦闘した思い出があります。
もし今私が起業と考えると、オンラインでの設立支援もあり、当時と比べて大変便利になっています。以下の例に見るように、クラウドとそれを繋ぐAPIのお陰で、既存の会社がレガシーシステムで苦戦する中、新規の起業家の事業運営には、デジタル化で大きなアドバンテージがあります。
合同 会社 の 作り方 - 自分でカンタンに会社設立
https://bit.ly/3mDvIFo
会社名を経営数理研究所とつけましたが、経営数理とは「経営を数字で理解する」という意味を込めてつけた名前で、定量的な分析に基づく経営診断をメインに仕事をしようと考えました。この原点は、この連載の第3回でお話しした経済企画庁への派遣です。
(3)第1のプラットフォーム(メインフレーム/端末システム)
http://cho.eforum.biz/modules/news/article.php?storyid=176
対象となる経済現象を因果の流れに沿ってフローチャートで表現、それをいくつかのブロックに分け、それぞれを重回帰分析といわれる手法で測定、モデル化して、それを分析するという作業を企画庁でしました。これはメインフレームの計算能力で初めて実現したもので大変貴重な経験でした。
重回帰分析とは
https://bit.ly/38PdqJ6
当時私が作っていたものはせいぜい10本程度のモデルでしたが、その連立方程式をメインフレームで解くのは結構大変でした。現在では数百本のモデルが稼働していて、日経新聞の〈NEEDS日本経済モデル〉が有名で、経済動向に関心の深い方はお耳にしたことがあると思います。
NEEDS日本経済モデル
https://www.nikkei.co.jp/needs/services/needs-model/
NEEDSをつかった最新予測が8月27日に発表されましたが、OECD世界モデルでの予測を見ると、わが国の2022年の成長見通しが、G7で最低となっています。コロナ禍で日本はG7で一番被害が少ないと考えていますが、どうなっているのでしょうか?
21年度の実質成長率は3.8%、22年度は3.4% NEEDS
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOMG272830X20C21A8000000/
OECDの経済見通しは明るくなっているが復興は均一ではない
https://bit.ly/3jRuzbh
「経営を数字で理解する」というテーマで仕事をスタートし、それに合うフレームワークを探したところたどり着いたのが、バランススコア―カード(BSC)です。上記の計量経済モデルと酷似した構造で、大変フィット感のあるものでした。次回からちょっと寄り道をしてBSCの解説をします。
(経営数理研究所代表 インスウオッチ客員研究員)
http://cho.eforum.biz/modules/xoopsfaq/index.php?cat_id=7
次回>http://cho.eforum.biz/modules/news/article.php?storyid=193