インスウオッチ連載070115
前回《保険会社を当てにしない》というテーマで、保険代理店特有の営業管理上の問題点について述べましたが、今回は、保険代理店に限らず、営業組織に広く見られる共通の課題について考えます。
それは営業日報に対するアレルギーです。
では、第3回《営業日報へのアレルギー》をお読み下さい。
営業日報を毎日確実につけることは、言うまでも無く、営業管理の基本ですが、いくつかのアレルギーから、なかなか旨く定着しないのが実情です。
アレルギーの第一が、《営業日報記入に時間が掛かる》というものです。
多くの日報が依然紙ベースの自由記入方式で、仮にパソコンを使っていても、紙のフォーマットそのままで、パソコンを清書用タイプライターとして使っていて、思い出しながら考え考え書くために、極端な場合1時間もかかってしまうというケースです。
日報を書かない定番の言い訳に、《日報を書いている暇があるなら、もう一件回った方がまし》がありますが、日報記入に30分も1時間も取られるようだと、この言い分にも一理ありと言えます。
アレルギーの第二に、《さぼりがばれる》というのがあります。
営業日報導入時に、様々な理由をつけて現場が反対するケースで、実はこの《さぼりがばれる》が、反対の大きな理由であるということがままあります。
このようなことが疑われる場合には、少々の抵抗を押しても、導入をする必要がありますが、スタッフに対する説得も結構大変です。
最後の問題は深刻ですが、《日報をつけても売上アップに繋がらない》です。
日報から、社長なり営業マネージャーが、何を読み取って、どのように売上アップの行動に結びつけるか、これが日報活用のポイントですが、自由記入の文章の行間を読み取って、対策を考えるのは至難の業です。
結局、文章中心のアナログタイプの日報では、時間をかけて書いても、結局、殆ど読まれなくなって、ただ惰性で続けているといったケースも、稀ではありません。
以上、前回、今回と営業管理にまつわる問題点を述べてきましたが、これを踏まえて、では、具体的にどうすれば良いのか? 次回から順を追って考えて行きます。
インスウオッチ発行人
(中小企業診断士 ITコーディネータ)
保険代理店の営業管理 バックナンバー
1.昨年一年の営業成績は?
http://cho.eforum.biz/modules/news/article.php?storyid=31
2.保険会社は当てにしない
http://cho.eforum.biz/modules/news/article.php?storyid=32
インスウオッチ連載070108
電話取材のお願い
前回、あなたの会社の営業実績を整理する表をご提供しましたが、この表をすらすらと埋めることが出来た方に、どのような方法でデータを取っておられるのか、電話で取材をお願いしたいと思います。
この表は営業管理を行う上で基本中の基本の表ですが、これからお話しするように、多くの代理店にとって、これを作成するには、かなり高いハードルが存在します。
実際の現場の事情をお聞きして、可能であれば、読者の皆さんへ成功事例としてご紹介して行きたいと考えています。
以下のフォームに必要事項をご記入の上、本文中にご都合のつく日時(**日**時から**時OK)を書いて頂き、送信ボタンを押してください。
http://cho.eforum.biz/modules/contact/
年明けのお忙しい中恐縮ですが、出来れば、今週か来週あたりでお願いいたします。ご指定頂いた時間帯にこちらから電話します。
では、第2回《保険会社は当てにしない》をお読み下さい。
前回の実績表は、営業管理の基本となる、新規顧客開拓と既存顧客深堀の実績を、把握するための表でした。
このデータを取る場合、あなたは先ず、保険会社が提供する代理店支援システムから取れないかと、考えるのではないでしょうか?
実は、これには大きく言って、3つの難点があります。
最初の難点は手数料が直ぐには分からないことです。
営業管理の基本の一つは、当然ですが、時々刻々自社の売上が分かることです。これが代理店にとって至難の業です。たまに収入保険料を、自社の売上と勘違いしている方がおりますが、これはいわば仕入先の売上です。
手数料の計算は、大変複雑なだけでなく、様々な事後清算の仕組みも加わり、代理店にとってブラックボックス化が進んでいます。ここを何とかしなければなりません。
余談ですが、これだけ手数料体系が複雑となると、保険料の不払いだけでなく、手数料の不払いもあるのでは?と不安になります。
2番目は新規客と既存客の区分を、保険会社からするのは大変困難なことです。
顧客接点にいる代理店ならば、当然新規客と既存客の区分は容易ですが、保険会社側からシステム的にこれを認識するには、専属代理店であっても、名寄せをしなければならないので結構大変です。
特に、乗合代理店の場合は、代理店にとっての新規・既存客区分と、保険会社にとっての新規・既存客区分とが食い違うため、ここは代理店で把握する外ありません。
最後は、保険会社システムの基本は契約管理ですので、クロージング取引しか分かりません。この点は、今回の営業実績表を埋めるという点からすこし外れますが、営業管理のポイントですので、ここでふれます。
営業管理では、クロージングのやり取りだけでなく、それにいたるアプローチや提案、営業外で行われる事故処理や集金といった、様々な顧客とのやり取りを管理しなければなりません。
保険会社システムのなかにも、お客様とのコンタクト履歴を残す仕組みを、工夫して組み込む動きがありますが、おもにバックオフィスを対象としたもので、営業のフロント管理には向きません。
以上を見ると、どうも営業管理については、保険会社をあてには出来そうになりません。
インスウオッチ発行人
(中小企業診断士 ITコーディネータ)
保険代理店の営業管理 バックナンバー
1.昨年一年の営業成績は?
http://cho.eforum.biz/modules/news/article.php?storyid=31
インスウオッチ連載070101
新しいシリーズとして、《保険代理店の営業管理》を始めます。
このシリーズを始める直接のきっかけは、無料でお配りしているBSC営業日報のダウンロードが190を超え、具体的使い方を知りたいとの要望が寄せられていることです。
更に、専業代理店にとって営業管理は大変優先順位の高い経営課題と考えており、連載を通して、営業計画のカリキュラムを作って行きたいと考えているためです。(昨年は経営計画のカリキュラムを作りました)
インスウオッチ読者アンケート
(営業管理が弱いと認識している経営者が多い)
http://iitf.eforum.biz/modules/xoopspoll/pollresults.php?poll_id=8
超簡単経営計画
(昨年作成の経営計画カリキュラム、今年は超簡単営業管理を作る)
http://cho.eforum.biz/
このシリーズでは、保険代理店の営業管理にまつわるあれこれを、お話していく予定ですが、第1回は、年の初めですので、先ず、あなたの会社の営業について、昨年一年間の振り返りをお願いします。
下図は、一年間の営業成績をまとめるためのフォーマットです。
一昨年(2005年)の実績をスタート台に、新規顧客開拓と既存顧客深堀の実績を加えていきます。
あなたの会社にとって、押さえておくべき基本中の基本の数字ですので、初仕事の一つとして、次週までに以下の表をプリントアウトして、実績の記入をお願いします。
(本文末尾右側の印刷ボタンをクリックすると本文が印刷できます)
2006/12/25連載
━3分間スピーチ━
前回までで、経営計画3点セットは完成しました。
ここで、社長としてのあなたに、最後の大仕事が残っています。
社員全員に、この経営計画を受け入れてもらい、実行してもらうことです。
先ず、決算月の前後に、社員全員参加の経営計画説明会を開いて下さい。
この説明会用のツールが、お渡ししたエクセルフォーマットの最後にある《3分間スピーチメモ》です。
出来上がった3点セットを見ながら、《3分間スピーチメモ》を完成させてください。
フォーマットの注意書きにあるように、説明会において社長が出だし3分で、経営計画を要約するためのものです。
出席者には、3点セットと合わせて、この要約が配布されていますが、これを読み上げるのではなく、3年後のわが社をイメージして、ポイントとなる数字を適宜織り込みながら、あなた自身の言葉で、生き生きと語って下さい。
昔《歌は3分間のドラマ》といわれました。レコード(SP版)のキャパが3分だった関係で、青い山脈、みかんの花咲く丘、東京ブギウギといった戦後直ぐの名曲は、皆演奏時間がほぼ3分です。
3分は短いようですが、旨く構成すると、しっかりしたストーリーが語れます。
何事も出だしが肝心ですので、十分リハーサルして臨んでください。
では、ご成功を!
最後にPRを少し
あなたが、《時間をかけないで経営計画を立てたい》とお望みならば、以下をご覧下さい。
4時間で出来る超簡単経営計画
http://cho.eforum.biz/modules/eguide/
連載目次
1.オンライン研修事前アンケート
http://cho.eforum.biz/modules/news/article.php?storyid=19
2.経営羅針盤を作る━経営方針と目標を設定する━
http://cho.eforum.biz/modules/news/article.php?storyid=20
3.経営理念とビジョン━ビジョン作りは難しい━
http://cho.eforum.biz/modules/news/article.php?storyid=21
4.マーケット開拓目標━客単価アップと新規開拓━
http://cho.eforum.biz/modules/news/article.php?storyid=22
5.A,Bクラスにランクイン ━生産性向上がポイント━
http://cho.eforum.biz/modules/news/article.php?storyid=23
6.既存顧客深堀と新規顧客開拓 ━ポストイットで知恵を絞る━
http://cho.eforum.biz/modules/news/article.php?storyid=24
7.経営航海図を作る ━BSC mapで目標達成の道筋を示す━
http://cho.eforum.biz/modules/news/article.php?storyid=25
8.経営航海月誌の運用 ━毎月PDCAを回す━
http://cho.eforum.biz/modules/news/article.php?storyid=26
9.社長航海月誌 ━来月からの社長の仕事は?━
http://cho.eforum.biz/modules/news/article.php?storyid=27
10.営業チーム航海月誌 ━来月からの営業チームの仕事は?━
http://cho.eforum.biz/modules/news/article.php?storyid=28
11.バックオフィスチーム航海月誌 ━来月からのBOチームの仕事は?━
http://cho.eforum.biz/modules/news/article.php?storyid=29
12.社長決意表明 ━3分間スピーチ━
http://cho.eforum.biz/modules/news/article.php?storyid=30
2006/12/18インスウオッチ掲載
━来月からのBOチームの仕事は?━
前々回は社長の、前回は営業チームの《航海月誌》を作成しましたが、今回はバックオフィスチームの仕事です。チームということですので、責任者をおいてPDCAサイクルを回してください。
これから挙げる実施項目は、STEP1のいわば基礎コースですので、既に出来ていることは飛ばして下さい。
また、書いてあることは例示ですので、社内の状況に合わないようでしたら、自由に変更して下さい。自分にしっくりこないと旨く回りません。
先ず、役割分担についてです。戦略目標は《バックオフィスを固め時間を生み出す》です。
事務を効率化して、営業スタッフを支援する時間を作るために、先ず、キャッシュレスとペーパーレスを徹底しましょう。
また、この2つを徹底することで、コンプライアンス上も大きな効果が得られますので、積極的に取り組んでください。
■実施項目1 現金3ない運動実施
現金を《受け取らない、置かない、支払わない》です。
一番難しいのは《受け取らない》ですが、まだごく一部とはいえ、100%キャッシュレスを達成した代理店も出てきています。
《置かない、支払わない》のポイントは、小口現金の廃止です。アスクルといったオンラインショップの活用、交通費を給料と一緒に清算するなどの工夫で可能です。
キャッシュレスの徹底は、事務の効率化に大変役に立ちます。
例えば、事務用品をうっかり切らして、現金を持って買いに走るといったことが出来なくなるといったプレッシャーだけでも、事務が締まってきます。
■実施項目2 整理整頓でペーパーレス
不要書類を廃棄するのが《整理》、残りの書類をファイリングするのが《整頓》です。
インスウオッチでおなじみのOSSの岡武社長にご報告頂いたレポート(Inswatch Solution Report 28号 2006/01/13)に、キャッシュレスに合わせて、ペーパーレスの取り組みについて詳しく載っていますので、是非、参考にして下さい。
岡武さんのケースでは、書類の約80%削減に成功、事務効率化に大いに寄与しました。
次は、顧客対応で、戦略目標は《更改肩代りで営業支援》です。
バックオフィスの顧客対応には、大きく分けて、お客様からの電話に答えるインバウンドと、こちらからお客様に電話するアウトバンドがあります。
バックオフィスでインバウンドに的確に答えるためには、お客様との対応履歴を即座にパソコンから参照出来なければならないので、代理店の現状から見ると、かなりハードルが高い仕事になります。
一方、アウトバンドは事前に準備が可能なので、インバウンドに比べて取り組みやすいといえます。なかでも、更改業務の肩代りは、大変、取り組みやすく、しかも効果が高いので、先ず、これから手がけて行きます。
■実施項目1 満期管理で割り振り
エクセルで満期管理表をつくり、先ず、営業担当者別に割り振ります。そのなかで、バックオフィスに任すべき顧客を特定していきます。
これによる典型的成功事例が《保険代理店ITハンドブック:風土改革と基礎的IT活用で売上倍増━トライアード━p162》に紹介されていますので、参考にして下さい。
http://www.inswatch.co.jp/book/book060.htm
■実施項目2 更改を非面談で実施
これをスムーズに実施するのは、勿論、トレーニングが必要ですが、アウトバンドなので比較的取り組みやすく、顧客対応内務スタッフ(CSR)の入門として最適です。
平均的代理店では、営業スタッフ一人当たりの顧客面談時間は、年間300時間程度で、そのうち100時間を、単純な更改契約に使っています。更改を非面談で実施することで、この時間を営業スタッフは、新規開拓や既存深堀に当てることが可能になります。
以上で、経営計画3点セット全てが完成しました。大変お疲れ様でした。
次回は、最終回として、この3点セットからポイントを抜き出して、要約(3分間スピーチ原稿)を作成します。